手作りクリームのつぶつぶ問題
うっかり食べそうになるほど甘くとろけそうな香りの油脂、シアバター。手作りクリームに少し加えるだけで、その香りはしっかりと引き継がれます。苦手な人もいるようですが、私はこの香りをかなり気に入っています。さて、素晴らしい自然からの贈り物・シアバターでございますが、一つ問題が・・・。表題のとおり、時間がたつにつれ【つぶつぶ】がでてくるのです。今回はこのつぶつぶ問題を研究してみました。
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シアバターとつぶつぶ
わけわからん―。正直な気持ちがこれでした。
なぜこんなことになってしまうのか。憎たらしいことに時間がたつにつれつぶつぶの存在感が増してくる。いや、つぶつぶが成長するのだ。手のひらに乗せれば溶けて消えるし使用しても何ら問題はないが、まるで歯磨き粉の「つぶ塩」のようなつぶつぶ感は、違和感があり見た目もよくない。何とかつぶつぶを解消したいとおもい、仮説を立てて検証を開始。
1.細菌混入説
最初に疑ったのはコレ。しかしビーカーや計量カップ等の道具は使用前に煮沸消毒していますし、製作時には手袋をしておりますので、可能性は低いように思いました。実際、煮沸消毒後もつぶつぶは現れました。
細菌混入説、没!
2.油脂原因説
スイートアーモンドオイルやミツロウ、マカダミアナッツオイルなどキャリアオイルが切れる度にメーカーを替えてみたものの、やっぱりつぶつぶが出てしまいました。そんなある日、シアバターのメーカーを切り替えたときそのつぶつぶ具合が少し変わったような気が。
◆今まで使っていたシアバター(未精製)
・マリ産、色は精製シアバターに近い白
・ふんわり柔らかい
・香りはおいしそうなホワイトチョコレート
・つぶつぶ具合がマイルド
◆新しく導入したシアバター(未精製)
・ブルキナファソ産、色は黄色
・少々ぼそぼそ感がある
・香りはちょっぴりスモーキーな印象のホワイトチョコレート
(燻製にしたホワイトチョコレートのようなイメージ)
・つぶつぶ具合が荒く、少々ぼそぼそする
そういや、シアバターを切り替えてからクリームのテクスチャ(質感)も若干変わったような気もする。
も、もしかして、原因はお前か?シアバターよ。
エッセンシャルオイルなら産地によって成分比率が若干違うので、香りも異なる。例えばラベンダー・アングスティフォリア。高地野生種と平地栽培種では前者のほうが香り高い。「エッセンシャルオイルの香りは固定概念を持ってはダメ、香りに幅を持って覚えなさい」とアロマテラピーアドバイザー講師が言っていたのを、ふと思い出した。油脂も同様に産地により成分比率が異なるので、テクスチャに影響を与えるとしても何ら不思議はないのだろう、そういうことにしておこう。今までの製作物を思い返すと、シアバターを入れていないクリームはつぶつぶ問題がなかったきがするし、いい線いっている予感。
データ検証
当たり前の話だけど、物を作るときは必ずノートをとっている。過去作でつぶつぶが顕著だったものと、ほぼ影響なかったもののシアバター比率を今更ながら見てみると意外な結果が。
【シアバター比率】
・10%未満 → つぶつぶ極小、ほとんど目立たない
・20%以上40%未満 → つぶつぶの影響が最も大きい
・40%以上 → 全体的にぼそぼそ
試作検証
■8%バージョン:製作直後
■8%バージョン:3日後
透明感があり、ソフトなテクスチャ。使い心地はかなり良い。つぶつぶを回避するには比率を下げるといいかもしれない説。
■50%バージョン:製作直後
■50%バージョン:3日後
木を隠すなら森の中。比率が大きくなるにつ入れてつぶつぶが大きくなるのなら、いっそのこと比率をどーんと上げてつぶつぶを隠してしまえ!という考えて作ったのがこちらです。クリームに透明感はなく、香りもテクスチャもシアバターそのもの。
*なぜ色付き容器をチョイスしてしまったのか…過去の自分を殴りたい。
精製シアバターを使えば影響はより小さくなるかもしれない。が、貴重な微量成分が損なわれ、本来の美容効果が得られないかもしれないというトレードオフ。微量成分なき油脂はただの脂だろ、という持論から今後も未精製シアバターを使っていく…かもしれない。
なお、乳化剤を使う方法も検討してみましたが、
1.人体に優しい乳化剤ほど効果で撹拌が難しい
2.個人レベルで乳化できそうな基材は安全性に疑問がある
ことから断念しました。もしOEMで製作依頼するならば乳化剤投入もありですが、金銭的にぶっ飛ぶこと間違いなし!
それでは、良き美容ライフを!